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『アイスマン』感想

 昨夜、NHKが以前イタリア・オーストリア国境近くのアルプスの氷の中で発見された冷凍遺体の本格的な調査が進みその結果を報道していた。

 参考 NHKスペシャル 『アイスマン』

 放送を終わり、どうも納得出来ない事があり、暫く考えていたがその事は『刺青(文身)』に関する見解です。現地の研究機関では鍼灸ではないかと結論を導いていたが、納得出来ないと思う。彼らの論拠は3点あった。

 ①刺青が人目に触れない腰と足首にあり刺青とは思えない。

 ②中国が発祥と思われる鍼灸のツボに刺青が存在する。

 ③遺体の腰骨にヘルニアの痕跡が存在する。

 以上だとおもいますが、本当だろうか。欧州に鍼灸の医術が5千年前存在していれば、何故それが後世に残らなかったか説明出来なければならない。

 私は西洋人は合理的な物の考えを進める素晴らしい点が多いが、一方、不合理な呪術的世界を排除する考えがどうも気になっています。刺青は本来呪術的な物だと私は考えていますが、人の目に触れる場所だけに施す訳ではないと思います。

 同一民族、部族だけに共通する部位に刺青をする事は大いに考えられると思うからです。刺青と言えば、日本が本場です、魏志倭人伝にも出て来ますので3世紀の頃の倭人の特徴ではないかと推定されています。習俗は長江流域から東シナ海沿岸、南朝鮮、九州と海を囲み海を住みかとして活動していた海人の特徴です。

 4世紀から5世紀の頃の前方後円墳を中心に沢山の埴輪が発掘されているが、人物埴輪には殆ど刺青されてる事も事実です。巫女さん(女)も、巫覡(ふげき 男)も刺青を顔にしている事が多いと認識しています。これらは、呪術的な意味があると解釈されている。

 昨夜の解説で違和感を持ったのは、遺体の胃袋に多量の食材が残っていた事です。説明では肉やハーブが検出されたと説明し、豊かな食生活だったという。そして、彼は逃亡途中に後ろから矢を射られ、撲殺されて死亡したと推測している。しかし、逃亡者があんなに満腹に肉やハーブの料理を食べれるのが違和感が残る。

 私はむしろ、生贄として異なる部族から殺されたのではないかと推測します、生贄に対して最後の神に捧げる贅沢な料理を腹いっぱい食べて殺されたと解釈した方が理解し易く思います。

 数日前から、梅原猛と白川静さんの対談集を楽しく読んでいます。中国の歴史に於いて殷の時代考証には甲骨文字と金文が欠かせない手がかりであると。そして、殷文化の特徴は①文身(刺青)の習俗 殷以前には存在しない②子安貝を貨幣として使用(子安貝は中国沿岸では採取出来ない、南方のもの)③呪霊(神との交信 王だけに許された行為)だそうです。

 どうも、古代倭族の習俗と似ていると白川さんは述べています。古代日本を研究するには古代中国の殷の時代の甲骨文字や金文を研究しないと判らないと述べています。殷は民族的にも山東半島にいた民族であり、倭人と同族である可能性があると私は推測しています。特に、羌の民族(夏王朝を建国していた北方系民族)の首狩りを行い生贄にしていた習俗は南方系だと思われます。

 何れ後日、『呪の思想 神と人との間』(白川静・梅原猛 対談 平凡社)の感想メモを残したいと思います。それにしても、NHKは最近、この前の中国の歴史に関する番組でも、無批判に報道している姿勢で大丈夫なのか、私は心配しています。

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