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古代河川交通で栄えた湊(1) 巨椋湖東岸 岡屋津

 久しぶりに、私が古墳時代を学んだ森浩一さんの『日本の古代』(5)中公文庫を再読している。実に素人に判り易く考古学者らしく、考古遺物や遺跡を背景に古代を語っておられる。今回メモを残したいと思ったのは河川交通で栄えた港(湊)を採りあげたい。

 古代の物資輸送のハイウエイは海と河川である。陸路は殆ど獣禽の道であり発達していなかった。私の記憶では陸地の道路が重要視され完備され始めたのは、唐王朝の影響が強く日本に押し寄せた奈良時代以降である。従い、海と河川を利用した輸送が古代では主流であり、木造船ではフナ虫が強敵なので、湊は海から河川に入った塩水が無い場所に建設された。

 ヤマト王権が奈良盆地に建設される頃の主な河川の港(湊)を採りあげてみたいと思います。ところで、余談ですが、港という漢字ですが、水+ちまた=船が行き来する人々が多く集まる賑やかな場所、となりますね。湊の方が古い日本の潟湖の船着き場を表現していると思います。奏の意味は銅鐸を叩き賑やかに入港・出港する風景を漢字にしたのではないだろうか。

 銅鐸の使用方法に上記のような稲作の祭りで使用された祭器以外に、海人達が船で使用したという仮説が考古学の世界で存在しています。

1.宇治の木幡(岡屋津)

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 さて、先ずは京都のMuBlogの旦那お住まいの宇治の木幡から採りあげたいと思います。この場所は古代は巨大な巨椋湖の東岸にあたり宇治川が注ぐ河口に岡屋津がありました。日本海から琵琶湖経由で船運で栄えた場所です。この港(湊)から日本海経由の大陸の物資を淀川経由で難波へ、そして瀬戸内海へと運び、同時に木津川を遡上しヤマトに物資を運んだ拠点でした。

 衛星写真で観ると、岡屋津は現在、岡屋小学校の名前で残っていますし、許波多神社や二子塚古墳が当時の面影を残しています。この二子塚古墳は菟道稚郎子(うじのわき いらっこ)即ち応神天皇のあと宇治天皇として即位した可能性のある応神さんが一番愛した和珥(わに)氏の木幡に住む娘、宮主宅媛(みやぬしの やかひめ)に産ませた皇子の墓である可能性が有ります。応神天皇は生前この息子を大事にし、皇太子にしていたそうです。

 しかし、異母兄の大鷦鷯尊(おおささぎのみこと)=仁徳天皇に位を譲り入水自殺したと伝えられています。正史では天皇に即位した事になっていません。

 参考 JoBlog 『ワニ氏と古代ヤマト王権』(2010年8月29日記事)

 参考 MuBlog『うじのわきいらつこ』(2004年7月23日記事)

 和珥(わに)氏は日本海・琵琶湖ルートでの大陸との交易の拠点としてこの巨椋湖東岸の湊を抑えたのでしょうね。和珥(わに)氏は同時に木津川からヤマトに入るルートも抑えており、和珥(わに)坂という地名や奈良盆地北部の地域を拠点としていました。

 話は脱線するが、和珥(わに)氏と言えば王仁博士と百済寺址を思い出すが、実は大国主さんの因幡の白ウサギを思い出します。ウサギがワニを騙してワニに逆襲される話ですが、ワニ氏は元来海運に従事していた氏族である事を語る伝説ではないでしょうか。ウサギは誰か、宇佐から来た人という意味に解釈すれば秦氏という事になります。大国主はワニ氏と紛争した秦氏を救済したという話になりますね。

 

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 さて、長さ105㍍の前方後円墳の二子塚古墳ですが、菟道稚郎子の陵墓という説ともう一つの可能性を森浩一さんは語っています。それは、崇神天皇と戦争をした武埴安彦(たけはにやすひこ)及び吾田媛(阿多隼人)の墓の可能性です。

『先代旧事本紀』では孝元の条に、『武埴安彦、岡屋臣等祖』と記録されているそうです。吾田媛は戦争の時に旦那とは別の隼人戦闘集団を率い崇神さんの軍隊と戦ったそうです。今でも木津川の付近、南山城には大住(大隅)という隼人集団が居住していた記憶が残っています。

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