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NHKスペシャル 『中国文明の謎』第二回感想

 承前 オバマ氏再選

 昨夜、NHKスペシャル『中国文明の謎』第二回目の放送がありました。

 参考 NHKスペシャル『中国文明の謎』 第二回 漢字の誕生 王朝交代の秘密

 漢字の誕生の話は私は白川静さんの本を少し読んだレベルしか知識が無い。しかし、今回の番組も何処か納得がゆかない内容でした。

番組が終わったあと、何故、納得がゆかないか、少し考えてみたが、その理由が判明した。私が尊敬する甲骨文字研究の世界の第一人者である故、白川静先生の説を全く無視して番組が作られているNHKの番組制作の態度に腹がたっていたのです。

 この番組を制作した人は文化勲章を受けた世界の甲骨文字研究に一生を捧げた白川静さんを何故無視するのかという事です。

 占の文字の説明

 私のつたない知識で言えば、白川静さんであれば、こう説明されたと思います。漢字は王が神に対しての祭祀儀礼を表象した姿を描いているという風に理解していました。占という漢字はNHKの番組でも説明していた亀の甲羅や動物の骨に占う言葉を書き込み、焼いた青銅の針を差し込みその熱でひびが入る模様で占いをした。

 そのひびが概ね、トの形になるので占いの漢字にはトが組み込まれた。そして、そのひび割れは神の意志であり、その意志を王が口で伝えたのが占の漢字であると説明されていた。しかし、白川静さんの甲骨文字研究の根底はこの今迄の常識である、口が人間の口では無いという驚天動地の発想から多くの口や日が組み込まれた漢字の誕生の背景を説明されたと記憶している。

 白川静さんなら、ト(刻まれた甲骨文字と神の意志であるひび割れ)を『うけひ』=のりとの器、の上に載せた姿であると説明される筈である。

白川静さんは、『甲骨文・金文の文字には、口形を含む文字で、この形を口耳の口と解しうるは一字も無い』(白川静 漢字百話 中公新書 27頁)と断言されている。日本人が制作した天下のNHKの番組なのだから、白川静さんの説も紹介するのが道義ではないのか。

 どうも、今回のスペシャルは政治の匂いがするのは私だけでしょうか。

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