スペイン・ポルトガル3200㌔の旅(37) テンプル騎士団と武士道
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リスボンからポルトガルを北上します。135㌔北上するとトマール(Tomar)という街に到着し、更に210㌔北上するとポルトガル第二の大都市でポルトガルの国名起源となったポルト(Porto)の街で宿泊となった。
今回は先ず、トマールの存在するキリスト教修道院の紹介となりますが、その前にポルトガルを世界初の海洋王国に押し上げた原動力となったテンプル騎士団について現地でお話を聴いた事で私に新しい歴史の見方を教えてくれた事を述べたい。即ち、江戸時代に築かれた武士道の原型はポルトガル人がテンプル騎士団の精神を日本の商人や武士に伝えた事が日本の武士道の一つの原点になった話です。
(写真はトマールのキリスト教修道院ーテンプル騎士団の修道院)
日本の堺の商人は千利休を始めポルトガルのテンプル騎士団の清廉潔白な修道士の清貧と神の為に命を捨てる戦士の魂を学んだと考えられ、ワビ・サビの心も実はポルトガルのテンプル騎士団に学んだと考える事が出来ます。この話は奥が深いので別途異なる場所で調査結果を記録したいと思います。
『テンプル騎士団』
この騎士団の名前は『ダ・ヴィンチ・コード』の読まれた方なら馴染だと思いますが、本来1096年の第一次十字軍遠征の直後に聖地エルサレム巡礼の人々を守る為に結成された騎士修道士の組織を呼びます。その組織は貴族出身の騎士の配下に十名程度の従者が従い、同時に事務を扱う従者達も存在し、その組織は国を越え『キリストとソロモン神殿の貧しき戦友たち』と自分達を呼称し神殿騎士団とも聖堂騎士団とも呼ばれた。
彼らは多くの特権を与えられ国を越えて存在する現代のグローバル企業のような組織となったそうだ。大義と精神がキリスト教国には絶大に指示され沢山の各国の王から土地の寄進を受け、商人からも寄進を受け無税の団体として行動出来、寄進された土地を換金して各地にブドウ園を経営したり、金融業を始めたり、まるで現代のグローバル企業のような経済活動を始めたそうだ。そして、巡礼者から金を預かり為替のような業務も発展させ国際金融の世界銀行のような業務も始めたという。
江戸時代、日本でも伊勢参りをする人々は為替を利用したと考えられるが、既に戦国時代末期に堺の商人や名古屋の茶屋四郎や博多・佐賀の商人はポルトガル人からテンプル騎士団のビジネスモデルを学んでいた可能性があります。
さて、このテンプル騎士団はあまりにも巨大な経済団体となりフランス王にも巨額の金を貸し付け、欧州各国の王から反発を買い、又、無税の特権は一般商人から反発を買う事になった。宗教法人が国際金融業務や国際貿易を行い自分で艦隊まで持つ組織となっていた。エルサレムが異教徒の手に落ちたのちもテンプル騎士団は存在したが、14世紀初頭にフランス王フィリップ4世の陰謀によりバチカンにも裏切られ悲惨な最期を遂げる。
近年、この裁定はフランス王の陰謀であり、バチカンの間違いであったとテンプル騎士団の名誉は回復されたそうだ。そこで、問題はフランス王がテンプル騎士団を異端の団体でありバチカンとともに追放令をだした時にポルトガル王は無視し、テンプル騎士団を保護した事が世界史を動かしたのです。
ポルトガル王は当時、イスラム教徒をイベリア半島から駆逐するレコンキスタ運動の最中であり、清廉潔白な勇猛果敢なテンプル騎士団は見方にしておく必要があった。しかし、このテンプル騎士団を抱えたポルトガルは此処に、テンプル騎士団が蓄えた国際金融の知識や航海術、海図の入手、強力な騎士修道会の軍の規律を確保し世界の海に乗り出して行く事になるのです。
日本にはポルトガル人が種子島に鉄砲を伝えた時から戦国時代が始まり、堺の貿易商人や日本各地の戦国大名がポルトガル人と接触する事になりました。日本には今でも200以上のポルトガル語が原義の言葉が残っているそうです。カステラ、先斗町・・・・・、そうそう最近トヨタの車のCMで指遊びとゴロのいい長崎弁で歌うのがありますね、これも異国語に晒された長崎の文化ではないでしょうか。
ポルトガルの大航海はテンプル騎士団の末裔が指揮する貴族騎士団であり、スペインの豚小屋番人のピサロや英国の海賊の末裔が活躍した大航海とは本質的に異なると言うのがポルトガル人の説明でした。日本にもテンプル騎士団の精神を伝えたと主張し、千利休の茶の精神や武士道の形成にポルトガルのテンプル騎士団の精神が生きていると説明していました。
当時のポルトガルの宣教師は日本から珍しい植物を持ちかえり、今もポルトガル人に愛されてる植物を色んな場所で遭遇しました。特にシントラのぺーナ宮殿ではサザンカや紫陽花が花を咲かせていました。ポルトガルと日本との関係についてもっと知る必要がありますね。
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