三星堆文明と古代の日本の共通点(その2)
3.鵜飼の風習が共通
・三番目の王は魚鳬(ぎょふ)と呼ばれる人でした。この漢字を分析すると、魚と鳬とは鴨などの水鳥を指しています。魚と鳥が鍵となる王でした。三星堆から出土した『黄金の杖』には魚と鳥が描かれており、両者は棒状の模様で結ばれており、且つ、その線は水鳥を貫いて魚の口の中に入り込んで消えている彫刻がされていました。この線は一体何だろうか謎である。又、人の顔も描かれており髪の毛は太陽の輝きのように四方八方に飛び散っている。太陽の顔を持つ人は魚鳬(ぎょふ)そのものである。この『黄金の杖』は王権のシンボルと考えられ、一方、黄河文明では杖は老人の代表であり、決して王権を代表する権威の象徴には成り得ないものだそうだ。
・エジプトや西洋文明では王が王権のシンボルとして杖を持つのはポピュラーですが、黄河文明には存在しないので、三星堆文明は明らかに黄河文明とは異なるものである事が判る。三星堆からは此れ以外にも、金の虎や金璋、金の仮面など沢山の金製品が出土しており三千年前の遺跡としては驚愕の事実であった。
・金の仮面であるが、2号坑から二体の青銅の人頭像の顔に被せられており、1号坑から出土の金の仮面も多分青銅の人頭像に被せられていたと考えられ、魚鳬王もこのような金の仮面を被っていたと想定される。
・蜀の鵜飼漁では日本のように鵜の首に紐を巻き付けて行うものではない、鵜が自ら人間に協力して漁をして魚を指し出すのだそうだ。NHKの取材班は楽山と峨眉山の途中にある村を見つけ現在でも古代蜀と同じ鵜飼漁をしている村落を見つけ取材に成功している。その時に漁師は棒を使い鵜との会話をおこなっているらしい。取材班は魚鳬王の一族は鵜飼漁を自在に行える能力を持ち鵜飼漁に使用する棒が王権のシンボルとして『黄金の杖』になったと解釈した。
・日本でも杖を王権のシンボルとする遺物が古墳から出土している。前期古墳であるが桜井茶臼山古墳からも玉杖が出土しており、三星堆と繋がる事が判ります。参考 橿原考古学研究所 王権のシンボル
・鵜飼といえば宇治川でも有名でした。ひょっとすると宇治は鵜治が元来の意味だった可能性がありますね。神功皇后の息子の応神天皇の王朝では三輪王朝から河内王朝に王朝が代わったという説もありますが、応神天皇の後を継いだのは宇治天皇と呼ばれるウジワケイラッコという息子でしたが、仁徳天皇に皇位を譲りました。近江や山城という場所は古来、渡来系の人々が多く居住する場所でした。秦氏の故郷である宇佐も鵜サである可能性が有りますね。参考 秦氏に関すメモ(目次)
・私は昔、BBC放送が作成した長江での鵜飼に関するドキュメンタリー映像を観た記憶が有りますが、鵜が生まれる時からすりこみで人間を親だと思わせるのですね。そして、寝起きも鵜と一緒に行いともに漁をするのです。犬と人間と同じような関係が、川鵜との間で行われてる事をその時に知りました。やはり、日本と三星堆文明とは深い関係がある事が判ります。
4.太陽を運ぶ鳥
・太陽が昇り沈む樹は扶桑の樹でした。桑の木ですね、初代王、蚕叢を示しています。そしてその木には鳥が止っています。鳥は二代目、三代目王と関係が深い訳です。どんな鳥か三星堆の遺物を観てみましょう。 参考 三星堆青銅遺物 鳥
・人面鳥が太陽を運ぶ図
四川省博物館には人面鳥が太陽を運ぶ様子を描いた磚(煉瓦)が展示されているそうです。 参考 四川省博物館 人面鳥の磚
初代王は蚕の神さんで、扶桑の木(神樹)となり太陽が其処から昇る訳です、そして、二代目、三代目の王が鳥になり太陽を運ぶという精神世界が蜀の古代に存在した事を示している。長江下流域でも時代が下りますが馬王堆 帛画にて太陽と黒い鳥(カラスか)、扶桑の木、が描かれております。
日本でも神武東征神話では三本脚のヤタガラスが神武を導いています。しかし、三星堆の青銅製の巨大な鳥は私には川鵜に見えます。本来は太陽を運ぶ黒い鳥は川鵜であった可能性がないのでしょうか。そういえば、神武さんの出発地、日向の地に鵜戸神宮という昔の官幣大社がありましたね。
神武天皇が都を開いたのが橿原(柏原)と言うのも蜀の二代目王と同じで柏灌に通じる所が有りますね。どうも日本の古代の習俗と記紀神話でも三星堆を含む長江流域の文化・文明の香りが強烈にしますね。それに、前方後円墳にはやたらと水鳥の埴輪が出土します、この水鳥信仰というのも元をただせば、三星堆、長江流域に辿る事が出来るかも知れない。
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