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美山公園・博物館ジオサイト 糸魚川市 長者ケ原考古館(その1)

 承前 第39回 赤とんぼ合宿(2011年10月秋合宿無事帰還)

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美山公園・博物館ジオサイト地域には縄文時代の集落の遺跡が有ります、『長者ケ原遺跡』と呼ばれていますが、併設して『長者ケ原考古館』があります。この遺跡は、縄文時代早期から後期に渡り長期間集落が維持され、姫川周辺で採取された翡翠や蛇紋岩を原材料とする加工工場が営まれ、石斧・玉を製造し日本各地の縄文集落に流通させた注目すべき遺跡です。

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 河口より3キロ内陸に入り、標高90メータの高台に展開する遺跡であり南北180メータ、東西100メータの集落であり、4500年前から3500年前の頃に一番栄えたと考えられています。此処で加工された翡翠の大珠(たいしゅ)が青森県の三内丸山遺跡で出土した事は皆さん記憶にあると思います。日本海沿岸の地域を海のルートで流通し、一方、信州から三河、東海、関東方面にも此処で加工された翡翠や蛇紋岩の石斧は流通しました。

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 『古事記』に登場する『奴奈川姫(ぬなかわひめ)』はこの地域を代表する巫女であった可能性があり出雲の八千矛命(大国主命)との恋の話は出雲の勢力がこの地域で採取される翡翠に目をつけ業務提携して翡翠加工工場を開発し出雲の海人族達、安曇族が製品を日本各地や朝鮮半島経由大陸へと交易路を拡大したと考えます。

 ユーラシアプレートと北米プレートが衝突する此の地では北米プレートがユーラシアのプレートの下に沈み込み、日本アルプスを形成しています。海の中で出来た岩石が地中深く沈みこみ圧力と熱を受ける事で蛇紋岩や翡翠は出来るそうです。それが地上に押し上げられ、20万年以上の年月をかけ姫川や小滝川に浸食され日本海の河口や海岸まで翡翠は運ばれたそうです。

 しかし、この翡翠の玉や石斧は弥生時代・古墳時代は輝石として威信財の宝石として利用されたが、奈良時代に突然に日本からは姿を消しました。奈良時代の法興寺塔址の勾玉や正倉院御物のなかにある翡翠や、仏像の冠に再利用され吊るされた翡翠の勾玉を最後に姿を消した。新羅や百済の王の冠を飾った姫川の翡翠は突然に姿を消したのが謎とされ、昭和16年に姫川で翡翠が発見されるまで翡翠は輸入品であると考えられて来た。(ビルマ産だと考えられてきた)

 卑弥呼の死後、トヨが魏の洛陽に使者を派遣した時に献上した『青大句珠二枚(せいだいこうしゅ)』此れが翡翠の勾玉であろうと考えられています。

 何れにせよ、奈良時代までは縄文時代から姫川の翡翠は東アジアで最古の硬玉宝石として君臨していました。ビルマで発見されるのは13世紀以降であり、且つ、日本以外で翡翠の文化を開いたのはメソアメリカ(メキシコ、グアテマラ、ベリーズ、ホンジュラス、コスタリカ)地域のオルメカ文明・アステカ文明・マヤ文明が知られています。

 マイフォト 翡翠の故郷 長者ケ原考古館 写真集

 

 『翡翠の女王(巫女)』

 『古事記』上巻に登場する高志国(こしのくに)の沼河比売(ぬなかはひめ)=奴奈川姫は出雲の八千矛神(大国主命)にプロポーズされたという求婚神話が記載されています。後日談として、『出雲国風土記』では彼女との間に御穂須須美命(ミホススミノミコト)を産んだと記録され、『旧事本紀』巻4には彼女との間に建御名方神(たけみなかたのかみ)を産み、彼は諏訪神社に坐す神である。建御名方神は国譲りの時に最後まで抵抗した神であり、最後は、諏訪湖まで逃げ延び諏訪大社に祀られた神である。

 出雲国と高志国(越国)は古くから関係が深かったと推測されます。出雲は姫川の翡翠資源が戦略的に重要でありました。さて、古代に翡翠はどのように呼ばれていたんでしょうか。

天皇家の三種の神器のなかに『八坂瓊之曲玉(やさかにのまがたま)』が出て来ますし、『瓊矛(ぬぼこ)』も登場し『瓊』は二、またはヌと読め玉の意味と解釈されています。従い『ヌナカハヒメ』とは『瓊河(ヌナカハ)』とすれば『玉の川』という意味になります。

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