美山公園・博物館ジオサイト 糸魚川市 長者ケ原考古館(その3)
承前 美山公園・博物館ジオサイト 糸魚川市 長者ケ原考古館(その2)
今回は長者ヶ原遺跡から日本海沿岸地域から北海道を含めた海の経済・文化文明圏に話を拡大してメモを残したいと思います。主な参考文献は何時もの森浩一さんで、今回の書籍は『古代史津々浦々 列島の地域文化と考古学』(小学館)を典拠とします。
(1) 北海道の遺跡関連
①苫小牧市 縄文中期の遺跡『静川遺跡』
日本で一番古い環濠集落遺跡である。参考 『静川遺跡』
②オホーツク海沿岸の『常呂(ところ)遺跡』と標津(しべつ)町の『ポー河遺跡』
日本で一番竪穴住居が残っている遺跡は何と、オホーツク海沿岸なのです。
③奥尻島の『青苗(あおなえ)貝塚』
渡島半島の西の海上にある奥尻島の『青苗貝塚』にあるお墓から硬玉翡翠の勾玉と水晶の切子玉が出土した。翡翠の勾玉は勿論、姫川の翡翠ですが、水晶は6世紀頃の出雲の島根県のものと思うと森氏は推測しています。
④余市の『フゴッペ洞窟』
壁画で名高い洞窟です、洞窟の入口からは人骨とともに6世紀頃の円形の柄頭(つかがしら)をつけた鉄刀が出土している。近畿圏では前方後円墳を築いていた時代に此処では、海岸近くの洞窟をお墓とする海を生活の場とする、人々が暮らしていた。
参考 『フゴッペ洞窟』
⑤恵庭 柏木東遺跡で和同開珎出土
森氏はこの和同開珎は渤海国の都である東京城(とうけいじょう)から出土した銀の和同開珎に注目し、日本海北部ルートで大陸から持ち込まれた可能性について検討する余地があると述べています。
参考 恵庭の遺跡群と和同開珎
⑥釧路の『材木町遺跡』出土の湖州(こしゅう)鏡
湖州とは上海の西方の町でありそこで、日本で言えば平安時代から鎌倉時代にかけて湖州という字を彫り込んだ鋳型を使い鏡を作っていたそうです。その鏡が出土したのですね。これは、九州から日本海を経由し津軽海峡を通過して釧路まで持ち込まれたと考えられます。
参考 釧路市埋蔵文化財包蔵地
⑦伊達市 『有珠モシリ遺跡』にて沖縄深海生息の貝輪出土
噴火湾に浮かぶ小さな島から人骨とともに貝輪が出土したが、その貝は沖縄本島の深い海で採れるゴホウラとイモガイの貝から製造された貝輪でした。遥か沖縄と北海道の有珠の噴火湾が繋がったのです。これは、戦後10大発掘の一つであると森氏は推薦しています。
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