第八回 三輪山セミナーイン東京 (そのⅡ)
『古墳出現前夜の土器の移動』
大塚さんの話では、弥生中期後半頃から列島内の土器の移動、交流現象があるという。纏向遺跡では東海・関東・北陸・山陰・瀬戸内海地域の土器の到来は有名な事実である。特に東海系の土器が多く存在する事は事実である。
大塚さんの考えでは、弥生終末期の外来系土器の移動はその背景に、人・もの・情報の激しい動きが考えられ、社会的な新しい胎動を創り出すエネルギーになったと考える。
東国における土器の交流現象について、西遠江の山中式土器の移動と東遠江の菊川式土器の移動について解説する。
・神奈川県綾瀬市神埼遺跡(環濠集落)では95%の土器が弥生後期の西遠江の山中式土器が出土した。
西遠江の人々が集団で東に船で移動したと考えられる。
・東京都新宿区下戸塚遺跡(環濠集落)では東遠江の菊川式土器が出土し、弥生終末期に東遠江の人々が集団で船で新宿区まで大移動して来た事実が判明している。この場所は私が62歳から勉強を始めた早稲田の敷地内です。
・小田原の弥生中期の中里遺跡では大阪は摂津地方の弥生土器が出土しており、弥生中期には摂津の人々が集団で船で小田原まで移住していた事実が判明している。
比田井克仁氏の『古墳時代の始まりと外来土器』という資料を参考に、大塚さんは小田原から多摩川流域にかけての地域では山中式土器と欠山式系土器が外来土器として顕著であると述べ、千代田・新宿・中野・北区・板橋区・和光市・大宮市の地域は菊川式系土器が外来系土器として顕著であると分析する。
注:山中式土器の特徴
伊勢・尾張・三河・西遠江(三重県・愛知県)の弥生後期土器様式。櫛歯状工具で押し引いた横線や波状文が特徴である。
『東国各地の出現期古墳について』
・千葉県市原市 神門(ごうど)3・4・5号墳 (纏向型前方後円墳)
5号墳(42.6メータ)、4号墳(48.8メータ)、3号墳(49.1メータ)
古墳時代前期1段階、外来系土器が多い。5号墳は畿内系加飾壺、北陸系土器、元屋敷系高杯、S字状結節文の壺などが出土している。4号墳からは畿内系加飾壺、叩き甕、手焙形土器、小型器台、元屋敷系高杯、在地系壺が出土した。3号墳も同系統である。
・千葉県木更津市高部古墳群 高部30号・32号墳(前方後方墳)
30号墳(34メータ)、32号墳(32メータ)
30号墳出土遺物:鏡 後漢二神二獣鏡、剣、槍、伊勢湾系手焙形土器
32号墳出土遺物:鏡 後漢四獣鏡、槍、鉋、釣り針、元屋敷系土器
古墳時代前期1段階に土器が出現している。
・長野県松本市 出川・丸山・弘法山古墳 66メータ級の前方後円墳
内法長5.1メータの竪穴式石室。後漢斜縁四獣文鏡、剣、斧、銅鏃、鉄鏃、ガラス玉が出土。墳頂部から約20個の供献土器が出土した。廻間2式土器が出土。 3世紀中頃の古墳と考えられる。
この他に、
・神奈川県海老名郡秋葉山古墳群
・大田区宝莱山古墳
・栃木県駒形大塚古墳などの古墳出現期の時代の古墳が存在する。
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