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東博 特別展示 日本の考古遺物(続篇)

 承前 東博 特別展示 日本の考古遺物

 ⑥古墳時代Ⅲ 倭の五王の時代 からの続編です

 橿原市新沢千塚古墳出土の重文である5世紀の金製耳飾りです。この古墳群は600基を数え、畝傍山の南の標高150メータ程度の越智丘陵に集中する4世紀から7世紀、特に5世紀中葉から6世紀末まで盛んに建設された。出土物には遥かペルシャから到来したと思われるガラス碗や金製の装飾品が数多く出土している。遥かペルシャの香りがする。しかも、時代が5世紀~6世紀、驚きです。

 此れも、同じ古墳群から出土した重文の金製指輪である。こんなもの、日本の古代では観た事が有りません、西アジアのスキタイやヒッタイトやペルシャのあたりから遥かシルクロードを伝わったものではないか。同じく、重文のガラス碗も1~2ミリの厚さで切子の装飾だ。一緒に出土した重文のガラス皿には鳥・樹木・人物・馬などが描かれていたらしい。ササン朝ペルシャからの舶来の可能性が高い。

 又、重文で羽曳野の安閑天皇陵出土の伝のあるガラス碗も有名です。江戸時代に安閑天皇陵で土砂崩れがありその時に出土したという。煮た碗が正倉院にありますが、生産地はイラン北部と考えられる。

 シルクロードの西アジアの舶来品は正倉院の奈良時代を思い出すが、意外と、5世紀の河内王朝時代は奈良時代よりももっと遥か西アジアの文物が日本の支配層には届いていた事に驚かされる。4世紀中葉から4世紀にかけて、ヤマト王権が朝鮮半島や大陸に進出した確かな証拠ではないだろうか。 参考 正倉院白瑠璃碗

 ⑦古墳時代Ⅳ 地方豪族の台頭

 古墳時代の後期・終末期の副葬品を展示している。馬具や装飾太刀、須恵器、等々である。

 ⑧古墳時代Ⅴ シルクロード経由の古墳文化

 韓国の三国時代の伽耶(慶尚南道陜川出土)の重文のショウ斗(下か火であぶり容器の酒を温めたと思われる)がある。

 ⑨奈良時代 唐から奈良へ 奈良から地方へ

 今回のシルクロードとの関連が深い遺物を意識して集められた展示であると思いました。とにかく、江田船山古墳出土の銀象眼太刀を目の当たりにしたのはラッキーでした。殆ど、人はいない展示場で思い存分眺める事ができました。

 こんかい、青銅鏡を沢山見る事ができました、三角縁○○鏡と呼ばれる、色んな種類も目の当たりに出来た。これも素晴らしかったです。

 サキタマ古墳群を訪問した時に、稲荷山古墳出土の鉄剣銘に刻まれたワカタケル大王の銘を今回も、熊本県の江田船山で出土した太刀からも見つける事が出来た。明らかに、ワカタケル大王は九州の熊本から埼玉まで権力が届いていた事になりますね。

 空白の4世紀は中国も、朝鮮半島も激動の時代でした、その頃に倭国と呼ばれた人々も否応なく大陸の激動に巻き込まれたのではないだろうか。そして、否応なく、戦争が得意な倭人へと変貌していったのかも知れない。

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