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NHKドラマ 『坂の上の雲』 感想 

 私の大好きな司馬遼太郎が絶対に映像化はさせないと、生前言いきっていた作品が、奥さんの了解のもとにNHKは映像化に踏み切った。NHKの責任及び、生き延びた関係者の、責任は重大である。

 司馬さんが懸念したのは、映像化により戦争賛美の作品と誤解されるのではないかと、その心配でありました。司馬さんが描きたかったのは、明治の人々の、絵図面の無い明治維新後の人々の必死に生きる、『私ごと』のない、日本を生存させる為に、自分は、何が出来るか、そんな、必死な多くの人々のサンプルを撰び、明治の時代の人々の精神を描きたかっただけなんだと考えています。

 世界は過酷でした、帝国主義が蔓延し、自国の利益の為にのみ動くのが正義であった時代です。アジアは欧州の帝国主義の餌食となり、植民化が進んでいた。今の中国の覇権主義をみていると、彼らが近世に受けた欧州への恨みが、経済力を背景に再度、明治時代の世界を繰り返すような、残念な気持ちがあります。

 司馬さんは、松山の少なくとも江戸時代には武士階級としてプライドのあった、三人を撰び、フランスの革命とは異なる知的、プライドある階層が国家の行く末を考える若者に焦点をあてた。これが、ロシア革命やフランス革命と決定的に異なる日本の歴史でありました。

 NHKでは時を同じくして、浅田次郎の『蒼穹の昴』のドラマを放映している。『坂の上の雲』とこの作品は、時を同じくした時代を、日本と中国の両面から描こうとしている。私は、NHKは大きな課題を中国と日本の国民に、近世史を考える石つぶてを投げているような気がしています。

 日本史を考えれば、明治の時代は本当に過酷な生活を一般庶民は強制された厳しい時代でした。江戸時代の方がもっと一般庶民経済は豊だったと思います。しかし、列強の帝国主義はアジアの豊かな平安を許さなかった。戦うしか道は無かったのが、現実だったと思う、そこは司馬さんの歴史観と私は同じだ。

 今、中国の一党独裁の覇権主義とヤクザのようなロシアの覇権主義が平和ボケした日本列島に迫っている。一番被害を受けているのは明治時代と同じで、朝鮮半島である。これが明治時代ならば、日本は朝鮮半島に対して平和を得る為の軍事行動を起こす所であるが、第二次世界大戦での韓国の国民感情を考えれば、日本は行動出来ない。

 アメリカは中東の後始末で動けない、そんな政治情勢から中国もロシアもやりたい放題である。日本という国はアメリカが存在しなければ、屁のような存在であるというのが、中国、ロシアの本音ではないだろうか。

 核も持たない、平和ボケした日本など、世界は相手にしていないのが現実ではないだろうか。アメリカの傘の下で、経済だけ世界第二位になって奢っていたのは、我々日本人だけの考えでは無かったのか。井の中の蛙だっただけの話だ。

 『坂の上の雲』は大昔の話ではなく、今の日本人にこの国際情勢にどう対処するのか、課題を突き付けている。秋山好古の言葉に『国家の廃頽は指導者の廃頽から始まる』という言葉が重い。二世議員がはびこる世界では、どうしょうもない。貧乏な家庭から志がある人材が政治の指導者に育て上げる社会がなければ生き残れないのが過酷な国際情勢である。

 朝鮮半島の問題は日本列島人にとり、近世史だけの話ではない、中国に統一王朝が生まれた秦・漢の時代から遼東半島から北部朝鮮半島部分は植民地化の嵐が吹き荒れた。倭国乱の2世紀、卑弥呼の3世紀、朝鮮半島の3国時代の河内王朝の朝鮮への度重なる出兵、洛東江流域の伽耶諸国の鉄を守る為にです。

 その後の歴史も中国王朝の動きと、朝鮮半島の政治の動きがヤマト王権にとり最大の政治課題でした。継体天皇や欽明天皇の時代の日本書紀では、殆どの歴史的政治記事は朝鮮半島に絡む話ばかりである。そして、巨大な統一王朝が生まれた隋の時代、唐の時代にも日本は植民地化の危機に直面した。

 この2千年の日本列島の歴史は大陸の統一王朝や分裂王朝の政治変化により、常に影響を受ける朝鮮半島情勢が最大の政治課題として取り組んできたと思います。そんなものは、将来も変わらない政治課題であり、一番大事な政治家が取り組む課題ではないでしょうか。

 朝鮮半島が安定する事が日本列島にとり、最高に平和をもたらす戦略である事に変わりはないと思います。

 戦後60年、日本は米軍の核の傘で守られて、自分自身で国を平和に持って行く国民の精神は何処かに霧散してしまった。秋山好古や秋山眞之を観ていると、大戦後我々日本人が失いかけている、何かを問いかけているように思います。

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