近代国家と国境
最近、日本では島の領有を巡り近隣国と摩擦が表面化している。日本は島の領有を巡り台湾、中国、韓国、ロシアとくすぶり続けており、戦後の自民党は結果的に、棚上げをして臭いものに蓋をするような態度をとってきた。政権交代により隣国は新しい政権がどんな態度をとるか探りをいれてきたのではないだろうか。
近代国家は国境を線で引き明確にする文化・文明である。しかし、私は曖昧な地域が存在して何が悪いか、不思議に思っている。歴史を振り返ると、琉球国は中国にも冊封し、薩摩にも冊封する国であり貿易で国が成り立っていた。対馬だって日本と中国の国権が衝突したとき最悪の事態を避ける為に公文書を偽造して難を逃れた事実がある。
近代国家が成立する前には海を生活の場とする海人と呼ばれる人々が陸上の国家間を行き来し潤滑油となっていた。東シナ海から黄海、対馬海峡、済州島、対馬、等々には海人と呼ばれる人々が多く生活していた。瀬戸内海の水軍も同じく陸上の国家に属さない自由の民でありました。ヨーロッパの中世の時代のバイキングも同じジャンルの人々ではないでしょうか。
実は陸上にもこの海人と同じ国家に属さない人々がいました。遊牧民と呼ばれる人々です。この遊牧民は世界史に於いて重要な役目をした事実があります。それは、ユーラシア大陸の西と東で古代国家を崩壊させ中世の国家を誕生させたと言われています。西では4世紀から5世紀にかけてフン族が西に移動しゲルマン民族の大移動を起こし西ローマ帝国は崩壊し封建社会である中世の国々を誕生させた。
東では2世紀の頃に漢帝国が崩壊し新しい中世の中国が生まれたと考える学説は京都学派の人々です。東大の学派では唐王朝の崩壊から宋の王朝の誕生の頃を中世の始まりと考えるようですが、何れにせよ遊牧民が引き金を引いた事は確かである。
第二次世界大戦のあと、中東やアフリカでは幾何学的な国境線と国が誕生した。中東では石油利権がからんでいるので、より複雑だが元来、彼らは遊牧民のDNAを引き継ぐ人々であり、宗教の対立が論評されているが、真の問題は彼ら遊牧民の自由な国境線に縛られる事に対する反撃ではないだろうか。自由を掲げる民主主義の国々に対して自由な移動を求める人々との対立が原点にあるような気がする。皮肉な事だと思う。
昨夜、世界遺産であるイタリア中部の小さな国であるサンマリノの紹介番組がありました。起源は4世紀の頃にローマのキリスト教迫害から逃れた人々が急峻なティターノ山に逃れローマと戦ったそうだ。その小さな国は今も独立国として存在している。執政官が二人選挙で撰ばれ任期は半年だそうだ。国の最高権力者が二名いるのは不思議だが、任期が半年というのもまるで、日本の首相のようだ。任期が長いと権力が集中し腐敗が起こるのを防止する考えなんでしょうね。共和制の原点のような国だ。近世の浪速を思い出しますね。
国のかたちとは、決まった理想の姿があるのではなくて、千差万別で構わないというのが本当ではないだろうか。基本的人権が守られ、差別のない国で自由に生活が出来る国であればそれでいいように思います。資源が無ければ何か工夫して生き延びる道を切り開けば良いと思います。
日本という国は島々が連なる列島であり周囲が海で囲まれ山岳地が8割も占め、平野が少ない国に1億人も住んでいる。それでいて、世界中を旅をしていて思うのは日本の自然は美しく、人々は優しく明るい人々で満ち溢れている。こんな幸せな国は世界中を探しても見当たりません。縄文時代から考えると六千年近く人々は仲良く暮らして来たと思う。
先祖の人々を継承し日本独自の国のかたちを、これからも考えればいいのではないだろうか。先日、百済の地を訪れ消えてなくなった百済文化を今、韓国の人々は光をあてようとしている、しかし、日本の明日香には当時の百済の文化が今も壊されずに現存している。誇らしく思いました。
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