明日香紀行(5) 亀石・鬼の俎、雪隠の段
御存知、亀石さんです。現在は南西を向いているが、西を向くと洪水が起こると言う伝説が伝えられているそうです。
今まで、色んな説が存在しているようですが、現地の説明板で書かれているのは、川原寺の四至(しじ)=四隅を示す標示石ではないかという説があります。私は河上邦彦さんの意見が自然で妥当ではないかと思います。
即ち、この亀石は橘寺の塔の心礎として計画されていたが、何らかの理由で途中で放棄されたものではないかという意見です。亀は本来背中の上に何かを載せる神として中国では考えられています。塔の心礎として考えられていたとすれば、自然な感じがしますね。
門脇禎二さんは古墳に関係する遺物ではないかという説のようです。河上さんは傍証として、羽曳野市の野中寺(やちゅうじ)の塔の心柱を支える礎石に亀の陰刻の例を述べています。野中寺は創建者が蘇我馬子とか聖徳太子さんという伝承があるようです。ともあれ、その陰刻の亀の顔が亀石の顔に似てるそうです。
参考 野中寺 心礎の亀陰刻
鬼の雪隠と呼ばれる巨石遺物ですが、明らかに刳抜の石槨です。現地の説明板に書いてある通りではないでしょうか。盗掘か高取城建設の時に石材として利用したが、途中で放棄された可能性が高いと思います。
花崗岩で出来ているそうなので、天武朝以前の墳墓ではないでしょうか。この硬い石を加工する技術者達は天智朝の頃は存在したそうですが、壬申の乱以降は石室に凝灰岩を多用する事が多く、技術者が明日香には少なくなったのではないかと思います。
鬼の俎と呼ばれる遺物ですが、先ほどの鬼の雪隠が蓋であり、これが底石だと考えられています。
古墳が暴かれ、無残にも石材として利用されようとしたんでしょうね。しかし、日本人はユーモラスな名前のつけかたをするものです。素晴らしいですね。
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