明日香紀行(1) 八角形墳を訪ねるの段
河上邦彦さんの『飛鳥を掘る』の本を本棚から取り出し、持参して近鉄飛鳥駅に降り立った。
飛鳥駅に到着したのは朝の9時頃でした。駅前のレンタサイクルのおばちゃんからチャリを借り、信号前の喫茶店のモーニングが美味しいと聴き、早速、腹ごしらえで入る。
レンタサイクルは900円、モーニングは580円程度でした。最初は橿原神宮駅で乗り捨てする考えでしたが、おばちゃんが勿体ない(200円追加料金)と説得され、飛鳥駅に戻る計画に変更した。
今回の明日香紀行、最大の課題は舒明天皇、天智天皇の時代から始まった天皇陵が従来の前方後円墳から、大型円墳に移行し、そして、下方方形、上八角形墳への変遷から、天武天皇の下方八角形、上八角形墳に移行したのをこの目で確かめる事でした。今回、一番確かめる必要があったのは牽牛子塚古墳です。前回の記事で、最新の発掘状況が報道されていた事に興味がありました。
『牽牛子(けんごし=あさがお)塚古墳』
地図を観て頂ければ、判りますが飛鳥駅の西方に牽牛子塚古墳、岩屋山古墳があります。最近までは岩屋山古墳が斉明天皇の陵墓であろうと、考古学の世界では考えられていました。しかし、今回の牽牛子塚古墳の発掘により八角形墳が確認され、こちらが斉明天皇の陵墓として注目されています。
朝日新聞ニュース 斉明天皇の墓ほぼ確定
本年、11月27日(土曜日)に明日香村では発掘調査報告会が開催されます、最新の飛鳥寺西方遺跡の調査(長谷川透さん)、牽牛子塚古墳の調査(西光慎治さん)が予定されており、注目されます。先着300名ですから、今からでは難しいかも知れませんね。
上三段八角形墳墓は間違いが有りませんね、下八角形である事も確認されたようで、対角長33メータもあるようですが、何段か不明です。しかし、大規模なハ角形墳である事が判明しましたね。
石室内が二つの空間が設けられ、合葬墓のようですし、出土した歯の鑑定や漆塗の夾紵棺の破片から最高級の棺である事と、歯の鑑定から日本書紀に書かれた間人皇女の歯ではないかと推測され、斉明天皇の陵墓である可能性が高いようだ。
となると、近くの同じく八角形墳である岩屋山古墳の被葬者はだれになるんでしょうね。八角形墳は天皇にのみ許された墳形であり、天武天皇以前の天皇という事になりますが・・・。
この古墳の近くに、真弓鑵子塚古墳があるのですが、現在石室を見学出来ないそうなので、訪問しませんでした。この古墳も最近の調査で6世紀中葉の墳墓で石室は400個の石を使い巨大なドーム状の石室規模であり石舞台古墳を越える大きさだそうだ。東漢氏の墓ではないかと考えられているが、蘇我稲目の墓説もあるようだ。
『天武・持統天皇陵(檜隈大内陵)』
下二段八角形、上三段八角形墳墓です。天武・持統天皇合葬墓として確定しています。藤原京の朱雀大路の直線延長線上にあり聖なるラインと呼ばれ、南直線上に中尾山古墳、高松塚古墳、キトラ古墳が鎮座しています。
持統天皇は初めて火葬にされた天皇です。鎌倉時代に藤原定家の日記『明月記』でこの古墳と考えられる野口王墓が盗掘を受けたという記事が書かれており、その後、盗掘記である『阿不幾乃山陵記(あおきのさんりょうき)』により石室の遺物の状況が判ったようです。
考古学者の河上邦彦氏は天武王朝開祖の墓を東北隅として西方向と南方向に藤原京と同じ規模の天武陵園が設けられたと述べておられます。
左は、中尾山古墳、高松塚古墳方面を眺めた風景です。右は古墳を一周しながら撮影した墳頂部の写真です。沢山の木が茂っています。
『菖蒲池古墳』
天武・持統天皇陵を真北に直線を伸ばすと、菖蒲池古墳が存在しています。
実はこの古墳も現在、発掘調査中のようでした。残念ながら見学が出来ない状況です。横穴式石室に二基の家型石棺が縦に並んでいる構造だそうです。
聖なるライン上にあり、重要にも拘わらず、橿原市に属しているので、明日香村の管轄ではなく、今まで放置された古墳だという。
産経ニュース 菖蒲池古墳は多角形?
奈良新聞ニュース 菖蒲池古墳
今年3月30日の記事であるが、多角形墳の可能性が高まったという。
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- エゾライチョウとクマゲラを見る旅 総括編(2018.07.09)
- 2018年春の渡りの飛島 総括編(2018.07.09)
- 南ゴビ砂漠探鳥紀行(2018年6月15日~20日) 総括(2018.07.06)
- 2017年 春の渡りの飛島記録(2018.05.15)
- 豪州鳥見紀行 ケアンズ・エアーズロック・シドニー チエックリスト(2018.02.21)
Comments