峨眉山・九寨溝・黄龍紀行より戻りました
昨夜、蜀の国だった成都より上海経由で帰国しました。写真は黄龍の石灰棚の風景です。トルコのパムッカレの石灰棚を思い出す風景です。
今回の旅は先ず、成都を基点に南130キロに位置する中国三大霊山(五台山、天台山)の一つである峨眉山に登りました。標高3098メータあり山頂のホテルで宿泊、御来光を見ようとしたが雨で観れませんでした。古来、信仰の山として崇められ、自然が守られた貴重な自然遺産でもあります。普賢菩薩の霊場として人々の信仰を集めています。
成都と言えばパンダ(大熊猫)ですね、飼育センターも訪問し可愛いパンダを始めて拝見出来ました、本当に可愛いもんですね。ベンガル湾から吹き付ける湿った空気は標高4千メータ級の九寨溝や黄龍の山脈に激突し成都の盆地に雨を降らせる。屋久島みたいなもんで、氷河期でもパンダの餌である竹が生育していたと何処かで聴いた記憶がある。従い、古来、蜀の国では年中、曇天で覆われ太陽が珍しく顔を出すと驚いて犬が吠えると比喩されている。
四川盆地には岷江(みんこう)、青衣川、大渡河が合流する地点があり古来洪水が絶えなかった、そこで、合流地点に唐の時代に巨大な高さ71メータの磨崖仏が彫られた。楽山大仏と呼ばれています。
成都の北430キロの位置には九寨溝・黄龍が4千メータ級の山脈として存在し素晴らしい自然が残されていた。深山幽谷の景色を満喫出来た旅でした。幸い高山病にも罹らず、無事に歩く事が出来ました。一度は訪問される事をお勧め致します。標高4千メータに空港が有りますので、成都から飛行機でアプローチする方法もありますが、私達は高山病の事を考え成都からバスでアプローチしました。
酸素缶を貰い万が一の時の為に持参しましたが、殆どの人は大丈夫、高山病には成りません。又、所々には緊急の酸素補給所が有りますので、安心して山歩きが出来ます。
沢山の中国の観光客と混じって観光する事になります、元気な中国の若者達に混じっての観光ですから、多少賑やかですが元気を貰うという風に考えればいいのではないでしょうか。
心を痛めたのは九寨溝に行く山間で四川大地震の被災地を通過した時でした。最大の被災地であります、殆ど2年間の間に再建されていますが、一部は地震の遺跡として保存されている場所も有りました。世界中から支援の手が差し伸べられたそうです。
被災した人々は羌族(漢音ではキョウと発音します、彼らの発音ではチャンと発音します)の人々である事に気がつきました。皆さん羌族について御存知でしょうか、中国の古代史に興味のある人であれば誰でも御存知と思いますが、少し、ご紹介しておきます。
羌族は中国最古の民族であると考えられています、本来は遊牧民ですが、中国伝説の最古の王朝である夏王国の伝説の王である禹は羌族であると考えられています。治水に功績のあった人物です。先月訪問した西安の陝西省歴史博物館で観る事が出来た仰韶文化の彩文土器に描かれた魚と顔のモチーフは禹ではないかという説もある事を思い出します。
しかし、殷の時代には同じく遊牧民である殷と戦い、多くの羌族の人々は犠牲となりました。祭祀の時には500人も600人も殺され神に捧げられたと言います。殷墟の発掘により出土した甲骨文字と埋葬された遺物により確認された言います。そして、殷王朝を倒した周の時、羌族は大いに活躍したといいます。
そして、中国で最初の統一王朝を築いた秦始皇帝の父も羌族であり中国の歴史では欠かせない貴種であると考えられているのです。奇跡的に3千年も4千年も生き残った羌族、何れ又将来、中国の政治史で活躍するかも知れません。彼らの家の玄関には羊の頭が描かれています。羌という漢字そのものは羊を飼う人々という意味から生まれているそうです。
中国の歴史は漢民族の歴史と私は若い頃考えていましたが、実は黄河文明に関しては遊牧民支配の歴史であると考えた方が良いかも知れません。というのも成都で皆さん御存知三国志で活躍した劉備の墓である武侯祠を訪問したが、中国では劉備が最初の漢民族の王であると崇めている事を知りました。諸葛孔明や関羽・張飛はどのような民族かは知りません。
そうそう、武侯祠では有名が岳飛が書いた出師の表を眺める事が出来た。最初は楷書で書かれ、途中から行書に変わり、最後は草書になっている見事な書です。今でも書の基本と崇められているんですね。
楽しい旅も終りました、残念ながら、三星堆遺跡・博物館には行けませんでしたが次回の楽しみに残しておきます。撮影した写真は1300枚あります。何れ、峨眉山・九寨溝・黄龍紀行として掲載する予定ですので、楽しみにして下さい。
(追伸)
山では沢山の高山植物と出会えました。昨年、礼文島で観たアツモリソウも見事に咲いていました。二枚ご紹介します。
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- エゾライチョウとクマゲラを見る旅 総括編(2018.07.09)
- 2018年春の渡りの飛島 総括編(2018.07.09)
- 南ゴビ砂漠探鳥紀行(2018年6月15日~20日) 総括(2018.07.06)
- 2017年 春の渡りの飛島記録(2018.05.15)
- 豪州鳥見紀行 ケアンズ・エアーズロック・シドニー チエックリスト(2018.02.21)
Comments
お帰りなさ~い
Jo師匠は、お元気ですねぇ。師匠の辞書には「疲れ」という言葉が載っていないのか?と思いますデス(笑)。
パンダ、可愛いですねぇ。
私は、上野動物園と白浜のアドベンチャーワールドのパンダしか見たことがありませんが、成都のパンダは自然のままで飼育されているような感じですね。間近でパンダを見られて、うらやましいデス。
「峨眉山・九寨溝・黄龍紀行」の写真、楽しみにしております。
Posted by: ほかも | 2010.06.09 08:57 AM
Joさん
お帰り~ 遺跡と大自然、それにパンダまで、旅を満喫したようですね 次はどっち方面への旅を計画中ですか?
久々に ご一緒したいですね
Posted by: 哲 | 2010.06.09 12:52 PM
ほかもさん お元気ですか
平城京のお祭りは時折テレビでも紹介されていますね。一度、貸衣装で大極殿を歩いてみたいです。(笑)
今年になりこれで、5度目の海外旅行でした。やはり、疲れますね、特に中国の人は元気だから大声で耳の傍で喋られると鼓膜が破れそうです。
この紀行での問題は、女性にとりトイレ問題があります。扉の無いトイレですから、ロングスカートか傘で身を隠すとか、大変らしいです。(笑)
是非、行かれては如何でせうか?
Posted by: jo | 2010.06.09 02:12 PM
てっちゃん お元気そうで
オンライン部隊の宴会に参加出来なく残念でした。
長らく、昔の仲間ともお会いできていなくて不義理をしています。6月はおとなしくしていますので、是非、宴会に誘って下さい。
7月は赤とんぼの信州合宿や蓼科近郊の山登りや京都紀行が詰まり、忙しいダス。8月はスイスに出かける予定です。
Posted by: jo | 2010.06.09 02:16 PM