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『坂の上の雲』 第三回 国家鳴動

 承前 『坂の上の雲』 第二回 青雲

 日本は近代国家の体裁を整えて行く、明治22年『大日本帝国憲法』が発布された。法治国家の体裁を整え、陸海の軍備を拡大して行く。ドラマでは兄の好古は陸軍士官学校から陸軍大学校1期生を卒業しフランスのサン・シール陸軍士官学校に留学する。弟の真之は海軍兵学校に進み首席で卒業し軍艦に乗り始める。子規は遂に喀血を行い故郷松山に静養に帰る。

 朝鮮半島を巡り宗主権を主張する清国と対立を深め危機的な状況が生まれ伊藤博文が苦悩を始める。陸軍参謀本部次長の薩摩の歴戦の雄、川上操六が登場する。彼は、鳥羽伏見の戦いから西南戦争の現場で戦ってきた戦士ですね。当時の首相の伊藤博文などは戦に於いて彼の眼中になかったでしょう。

 朝鮮半島出兵に於いて、一個旅団2千名の派兵を何とか取り付けるが、実際は数倍の規模の兵隊を派兵する。ここに、昭和の大戦に繋がる『暗部』が隠されています。川上操六は派兵だけを首相に決めさせれば後はなんとでもなる、天皇にお話しすれば良いと言います。これが、司馬さんが死ぬまで語っていた明治憲法の欠陥部分でした。

 天皇の『統帥権』であります。軍部暴走の法的根拠となる重要な憲法の欠陥部分でした。『坂の上の雲』で司馬さんが描きたかったのは、幕末から明治維新を起こした若者達の夢と希望です。松山の貧乏な三人の若者の成長の姿を借りて明治という時代の欧米列強の植民地支配から逃れる独り立ちするがむしゃらな活気ある『国のかたち』を描きたかったと理解しています。

 しかし、既に朝鮮半島派兵の時から、軍の『暗部』が存在していた事も見逃していません。

 参考 NHK『坂の上の雲』第三回 国家鳴動

 

 明治26年、好古は35歳で旗本の娘と結婚します、既に彼は陸軍少佐でした。未だ江戸時代の身分制度が残っていた時代ですから陸軍少佐と言えど頭が上がらなかったでしょうね。(笑)

 二人の兄弟はともに海外に留学する訳ですが、当時としては希少な存在ではなかったでしょうか。世界的な視野で日本を冷静に眺める目を持っていたと思います。司馬さんが彼らを選んだ理由もそこにあるように思います。そんな彼らも、遂に戦争に巻き込まれて行きます。全編を通じ、兄貴は戦場でも大酒を飲み、弟は甲板でポケットに入れた煎り空豆を取り出してポリポリと食べる癖は何ともユーモラスであります。

参考 MuBlog 『坂の上の雲』 第三回 国家鳴動

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