チチェン・イツァー遺跡紀行 エルカスティージョ=ククルカン神殿(El Castillo)編
チチェン・イツァー遺跡では一番有名な巨大ピラミッドの神殿でククルカン神殿とも呼ばれている。低辺の1辺が59メータ、高さ24メータの後古典期前期AC900年からAC1200年の建造物であります。
3年前に事故があり観光客が滑落死亡する事故から現在は残念ながら登る事は出来ません。本当に残念ですね、このピラミッドの上からユカタン半島のジャングルの景色を眺めたかったです。
この神殿は前回に説明しました新チチェン・イツァーの遺跡群に属しメキシコ中央高原の覇者である、好戦的なトルテカの影響を大きく受けた遺跡です。このピラミッド(神殿)は暦の神殿とも呼ばれる多くのマヤ人の世界観を具現化した建造物となっている。
(マヤの天文学と暦について)
先ずハアブ暦についてですが、1年を20進法に従い20日からなる18か月と5日間の暦を考えていました。これは農作業を管理する農耕暦であったと考えられています。新年は昼間が最も短くなる冬至にあったようですね。人々は太陽の力が最も衰えたあと、再び太陽の力が強くなるこの時期に再生・新生の願いを込めた。
1年最後の5日間をウアイェヴの5日間と呼び新年直前の5日間を太陽が死に向かう不吉な日々と考え身体も洗わず、髪もとかさず、厄介ものが来ても追い返さず、疲れる肉体労働も全くしなかったそうだ。
次に、ツォルキン暦についてです。13日を一周期とし、それが20周期で260日、それぞれの日に大安吉日のような吉凶が当てられた宗教儀式の暦である。この二種類の暦を組み合わせ対応させて、即ち直径が異なる二つの歯車をかみ合わせ回転させて暦を刻む方法であった。従い、260日と365日の最小公倍数である18980日即ち52年で二つの暦は一巡する事になり還暦となる。この世界観はマヤ・アステカ諸民族、メソアメリカの共通の世界観であったそうだ。
そして、このハアブ暦とツォルキン暦以外に時間を計算し記録する基本的な単位が知れれているという。1日を1キンとし、20キン=1ウィナル、18ウィナル(360日)=1トゥン、20トゥン(7200日)=1カトゥン、20カトゥン(144000日)=1バクトゥン、20バクトゥン(2880000日)=1ピクトゥン、20ピクトゥン(57600000日)=1カラブトゥン、20カラブトゥン(1152000000日)=1キンチルトゥン、20キンチルトゥン(23040000000日)=1アラウトゥンと記録していたという。
この表記法によりマヤの世界が始まった日から経過した時間を表わすことが出来た。これが長期暦である。今までの研究により、長期暦の最初に一日はBC3114年8月11日とされている。このマヤ独特の暦を西暦に変換する方法は考案者の頭文字を取り、GMT法とよばれています。石碑に刻まれた年代をこれで知ることが出来ます。
マヤの人々は13バクトゥンが経過すると現在の世界は滅びると考えており、世界の終焉となる。これは西暦に換算すると2012年12月23日となります、怖いですね。
(ククルカン神殿の謎)
北側階段には蛇の頭があります、これはククルカンと呼ぶ羽毛の蛇という神であります。春分と秋分の日には太陽の光がピラミッドの角の階段にあたり、蛇腹の模様が出現し、巨大な降臨する羽毛の蛇=ククルカン神が出現する事で有名です。
ピラミッドが正確に北を向かず、このような現象が生まれるように設計されたという。
4面のピラミッドには真中に急な91段の階段が設けられ、4面合わせると364段となり、頂上の神殿の1段の階段を合わせると365段となりハアブ暦を表現している。
又、ピラミッドは9層のテラスから構成されており、真ん中を階段で二分されている。これは、9×2=18となり一年を表すと考えられている。
この神殿もマヤの他の神殿と同じく、内部には古い時代の神殿が存在している。以前はククルカンの頭の近くから内部に入れたそうですが、今は見学出来ません。内部の神殿が発見された時に翡翠の目を持つ赤いジャガー像(多分、王が座る玉座)と生贄の心臓を置いたチャック・モール像が発見されたという。
神殿の北側のククルカンの近くで手を叩いたり、大声を出すと何とククルカンの鳴き声がこだまとして返って来ます。これは、内部のピラミッドと外側のピラミッドの間に空間がありこのような楽器の役割をピラミッドがするらしい。実際、やってみると見事な鳴き声が返ってきました。これは、本当に不思議な仕掛けと思います、流石に、新世界の七不思議にこの神殿が選ばれた理由が判ります。
位置情報:グーグルアース ククルカン神殿
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