三輪山と日本古代史「 その2」
いつ頃まで奈良盆地が湖で静まりかえっていたか判らない。しかし、司馬さんが言うように三輪山の麓と葛城山の麓には出雲族のミワ族とカモ族の二種類が定住していたと考えられます。弥生時代が始まると、田原本町近くの唐古・鍵遺跡の標高の低い部分では既に稲作が始まって人々が住みついていたようだ。
出土土器に描かれた楼閣のような建物を建設し、日の出の三輪山と陽が沈む二上山を眺めて崇拝していたと考えられるのではないでしょうか。この稲作を始めた人々はミワ族かカモ族か判らない。新しく玄界灘に大陸から水稲を伝え、高知平野、瀬戸内海、播磨地方へと徐々に水稲を伝えた人々かも知れない。
しかし、明らかに弥生時代の唐古・鍵遺跡から纏向遺跡へと時代は流れ巨大な箸墓に代表される前方後円墳が建設される古墳時代に突入しました。日本列島に卑弥呼を盟主とする邪馬台国部族連合が生まれ、そして崇神さん、景行さんの三輪王朝が誕生する訳です。この王朝は三輪山の山麓に栄え巨大な230メータの行燈山古墳(崇神)、300メータの渋谷向山古墳(景行)へとすすみます。
三輪山を聖なる山として祭祀した王朝と考えられます。私は未踏ですが狭井神社の東北の山林傾斜地に、三輪山の辺津磐座の一つである「山の神(祭祀)遺跡」があるそうです。ここからは、祭祀に絡んだ沢山の考古遺物が出土したそうです。参考 山の神遺跡出土遺物 粘土細工の祭祀で使用したものでしょうね。江戸時代に三輪山の禁足地から出土したという大きな子持ち勾玉などは、大神神社の宝物館でみれるそうですよ。
石野さんの話では、考古学・歴史学で有名な桜井市生まれの樋口清之さんの伝える話として、三輪山全体を三重に囲む磐座が存在するらしいです。大きな岩の下から銅剣などが出土するという。記紀が伝える話として、5世紀の雄略天皇が三輪山の麓の長谷谷に朝倉宮を築いた時に三輪の神に会いたいといったが、余りに恐ろしい神なので会わなかったという。
(閑話休題)
そうそう、先日自宅に大神神社社務所から東京で開催の第六回「三輪山セミナー」の案内が届きました。私は自慢ではないが、第一回から6年間、全て参加しています。今回は、菅野雅雄先生が『三輪山と神の社』で講演、山折哲雄先生が『三輪山の信仰ーカミと神』のテーマで講演される予定です。8月22日(土曜日)13時から有楽町のよみうりホールで開催されます。後援は文化庁・奈良県・桜井市であります。
(二上山について)
この山は旧石器の時代から石器の材料であるサヌカイト(黒曜石)を採取する山として大事にされてきました。特別な山であったそうだ。この二上山から葛城山にかけては、以前に司馬さんのお母さんの故郷である竹ノ内街道の集落である竹ノ内・長尾に関して記事をかきましたね。カモ族の拠点だった所であり、古代の豪族・葛城氏の拠点であります。
石野さんの話では二上山の麓には沢山の群集墳が集中するそうですが、不思議と香芝から當麻町にかけては墳墓が存在しないという。聖なる場所であった可能性があるそうですね。二上山で有名な歴史と言えば悲劇の皇子、大津皇子ではないでしょうか。持統天皇に殺されたという悲劇の天武の皇子です。二上山の山頂に葬られたと言うが考古学的には麓の鳥谷口古墳であろうと言われています。
石棺の上部にも屋根があり、横の石材にも屋根があり廃材を利用したにわか作りの石棺であるようです。6世紀から7世紀の頃には麓は貴人の墓地になり、大阪側は王陵墓・王家の谷になったようです。(敏達・用明・推古天皇陵)
田中日佐夫氏の『二上山』によれば、陽の沈む二上山の向こう側、大阪側に王陵の谷を作り竹ノ内街道は棺を担いで粛々と歩む道であったという。當麻寺は當麻氏の氏寺であり當麻氏は葬送を司る氏であったと述べる。平安時代になると、香芝に恵心僧都源信が誕生し「往生要集」を書き浄土信仰・阿弥陀信仰をすすめたのは皆様も良く御存知。
(箸墓のこと)
日本書紀では箸墓の建設過程が詳細に記述されています。古墳築造の記事では唯一の記事ではないだろうか。昼は人が作り夜は神が造ったという。突貫工事で24時間造り続けたのでしょうね。そして、葺き石は二上山(逢坂山)から人々が列を作りバケツリレーのようにして石を運んだという。14キロの距離があるから、1メータ間隔で1万4千人が列を作った事にになりますね。周濠を入れると400メータに達する巨大前方後円墳を一人の女性の為に列島の歴史上初めて、多分、東アジアでは初めて建造したのです。
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