白鬚神社 『2』
白鬚神社の祭神が猿田彦という紹介を前回の記事で書きました。猿田彦という神さまは記紀によれば天孫降臨の時に道案内をした神だという。日向の高千穂に案内し自らは伊勢で活躍したという。人相が面白く、背が7尺、鼻が8咫(あた)、目が八咫鏡のようにホオズキのように輝いていたという。
咫という単位が記紀では登場しますが、中国と日本では異なるようですね。中国では円周を示す単位のようで八咫鏡というと円周が8咫で径が2尺という事らしいです。日本の咫は手を広げたとき親指と中指の長さを咫と言うそうです。
考えてみると英語でも歩幅を距離の単位にしているし、肘の長さを単位にしたり身の回りのもので単位を考えるのは自然ですよね。ともあれ、猿田彦の身体的特徴は異様ではないですかね。天狗の容貌に似ていますね。
重要なのは、天孫族の道案内をしたという記述ではないでしょうか。古代のハイウエイは海ですから、船を操る航海専門集団の親玉と考え依頼主に応じて航海をした人ではないでしょうか。海人族と考えるのが自然ではないでしょうか。
しかし、異様な容姿を記述した理由は何故なのか謎として残ります。ひょっとすると胡人ではないかと推測したくなりますね、シルクロードの交易で活躍した胡人が当時の中国の植民地であった楽浪郡、帯方郡まで交易のルートを広げていた可能性があったのではないかと空想してしまいます。彼らは中国王朝とのパイプを握っていた可能性がありますね。現代風に言うと商権と考えると判り易いかもしれません。
白鬚神社のすぐ北の琵琶湖西岸が高島(古代の三尾)で継体大王の父の本拠地ですから、この神社と無関係ではないと推測できます。日本書紀では継体大王は近江国高島郡三尾別業(なりどころ)即ち、別荘で育ったという。別荘というと本拠地は何処かが問題になります。
そこで、有力な説は当時琵琶湖東岸で海人族で有力な息長氏(おきなが)が本拠ではないか。近江国坂田郡が本拠ですが、いずれ又現地を調査したいと思います。
河内王朝を開いた応神大王のお母さんがオキナガタラシヒメですし、その後もヤマト王権の大王の皇后としてオキナガ氏は姫を送り込んでいる。大陸との交易では活躍した海人族です。継体大王が応神大王5世の孫と記紀が書いたのは、何らかのオキナガ氏との関係があるからかもしれない。
継体大王は謎の大王と言われている。神功皇后は朝鮮半島から帰国後、息子の応神大王を産みヤマトを制圧し河内王朝を打ち立てました。その後、倭の五王と呼ばれる有名な大王が本格的にヤマト王権の版図を広げ東は埼玉古墳群に見られる領域迄王権を拡張しました。
その王朝も武烈大王で途切れ、突然に継体大王が擁立されたのです。血筋が絶えた河内王朝を救ったのは河内王朝の生みの親である息長氏であったと考えると継体という名前が理解し易いのではないだろうか。河内王朝の血筋が絶えたものを繋げるのは息長氏しか出来ない訳です。
世界は激動していたのですね、中国の政治情勢が大きいと思います南朝一点張りの河内王朝では台頭する北朝の政治情勢に対応出来ず、同じく朝鮮半島の政治情勢にも対応しきれなくなっていたと想像されます。大伴金村は朝鮮半島の経営を任されていた人物ですから、新しいヤマト王権が必要であった。
現代の日本を取り巻く情勢と似ていませんか。Changeが求められていたと考えましょう。
現代の天皇家の血筋が正確に辿れるのは継体大王までであります。その意味では継体大王は重要な大王と言えます。その鍵が琵琶湖の三尾別業の彦主人王であり息長氏かもしれない。
産業面からの見方で面白いのは鉄の生産に関してです。河内王朝の時代までは鉄は朝鮮半島の南部、洛東江流域の加羅、任那地方から輸入していました。稲作、武器の基本になる鉄は海外依存だった。しかし、砂鉄と鉄鉱石から鉄を生産する技術と製造工場が継体大王の時代から可能になったと言われている。
継体大王のお母さん振姫は越前の鉄の豪族だと聞いています、又、琵琶湖北岸では鉄の生産が始まっていたそうです。彦主人王も振姫もともに鉄屋さんという事になります。朝鮮半島に依存する必要が無くなってきたのですね。逆に言うと、加羅、任那諸国の山にはもう鉄を生産する森林が無くなっていた可能性があります。
大伴金村の失政と言われる任那の百済への割譲、新羅の加羅諸国への侵攻にヤマト王権が真剣でなかったのは、そのような産業事情が存在したからではないだろうか。もう任那の役割は昔ほど重要では無くなっていたのかもしれない。
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