日本人は何故刺身が好きか?
世界をウロウロ歩いていて、日本食の中で刺身の文化だけは日本独自だと考えています。刺身だけでなく、素材を生かすという考えは和食文化の特徴ではないでしょうか。
ベトナム、中国、カンボジア、モンゴル、韓国を旅をして日本食とは随分と異なると思うのですよね。勿論、欧州、米国、メキシコとはもっと異なります。さて、この日本食の文化は何故生まれたのでしょうか。食は保守的と言います、過去の民族のDNAを受け継いでいると思われます。
上田篤さんの「日本の都市は海からつくられた」を読み直していると稲作が日本列島に伝播したのがたかだか2300年位前の話であり、それ以前の1万年近い縄文時代の生活が今の私たちの根底に存在しているという。
過去記事 宇佐神宮とヤマ信仰
過去記事 年末正月にみる日本文化の源流
日本列島がまだユーラシア大陸と陸で繋がっていた2万年前の頃、大型哺乳類を追いかけて来たバイカル湖近辺の細石刃(さいせきじん)を狩猟道具とする人々が渡来した。これは、既に日本人とバイカル湖近辺のブリヤート人がミトコンドリアDNAが同じだと言う話は有名です。ついでに今話題のチベット人とも同じだそうです。
北海道の石器時代の遺跡からはこの、骨や動物の角や木の両側に細かい石の刃を埋め込んだ狩猟道具(細石刃)が発掘されています。
その後、ヒプシサーマルと呼ばれる地球温暖化が今から7千年前の頃にピークに達する。海面上昇と温暖系の照葉樹林が北上し西日本から一部東日本まで達した。この時に揚子江あたりの人々も北上し九州、西日本に到達したと考えられています。
関東から以北の落葉広葉樹と海で生きていた人々と、新たに南方から渡来した照葉樹林と海で生きる西日本の人々の2種類が日本列島で暮らす事になった。しかし、6300年前に九州南の鬼界カルデラが大爆発を起こしたのですね。東西20キロ、南北15キロのカルデラは火山灰150立方キロ、サントリーニ島の4倍の規模の火山灰を西日本に降らし壊滅させた。
風の関係で北部九州は災害から免れたそうだが、殆どの西日本は壊滅したそうだ。回復するには1500年の年月が必要だったという。西日本は1万人、東日本は25万人という人口構成であったと推測されているそうだ。
上田篤先生は揚子江から東シナ海沿岸、南部朝鮮半島、北部九州にかけて航海漁撈民族が存在したという。ヒプシサーマルを過ぎて地球が寒冷化を始めた頃からこの地域で活躍する倭人の原型が存在したそうだ。彼らは本拠地を揚子江から南朝鮮と北九州に移動させたという。
漢書・地理志に「会稽(かいけい)海外、東鯷(とうてい)人有り。分れて二十余国を為す。歳時を以て来り献見す。」という記述があります。会稽とは今の蘇州ですね。蘇州の東で海路を通じて東鯷という国があるという。これは、日本以外にあり得ない。
東鯷(とうてい)とは何でしょうか。上田先生の説では、鯷とは鯰(なまず)とか大鮎(あゆ)の意味だそうで、大アユやナマズを常食にしている人々という意味だそうだ。呉の国を宗主国とする朝貢国の人々であったのではないかと推測する。東に縄文人、西に東鯷(とうてい)人あるいはその祖先が存在していたと考えられる。
その後、長江、揚子江流域で開発された稲作農耕が2300年前頃に彼ら倭人、航海漁撈民族の手で西日本に渡来したのではないでしょうか。中国の政治の混乱、朝鮮半島の北部からの遊牧民の南下とか色々民族の興亡が、ある度に、日本列島には西日本、日本海沿岸を中心に亡命人は渡来した。
実は、航海漁撈民にとり航海上の地上のランドマークは重要であります、神社の原型はこのヤマに起因すると私も最近は考えるようになりましたが、この話は別の機会に纏めたいと思います。今回は、刺身とか生も、旬の食材の話でしたね。
(刺身、生もの、旬の食材を尊ぶ文化)
日本人は農耕民族だというのは間違いであり、たかだか2300年程度の歴史しか存在しない。日本列島で住んでいた縄文人は1万年近く山の幸と海の幸で生きて来たのだ。西日本の倭人も航海漁撈民族でありました。彼らは、縄文海進時代にも恵まれた山岳、垂直方向で狭い地域で広範な植生の実りを享受できる、季節のおりおりの果物、根菜、木の実や海の幸で暮らしてきたのだ。
農耕に比べ、食糧危機のリスクは少なく人口爆発も起こらない静かな平安な時代を1万年近く過ごしてきたのだ。季節のものを食べ、新鮮なものに力があると考える信仰が育まれたのではないでしょうか。
中華料理もフランス料理も生ものは無い。素材を加工する料理であります。この信仰に近い考えは建築にも仏像にもありとあらゆる日本文化の根底に存在しているのではないだろうか。白木の柱や木造建築、渡来仏像に貼られた金ピカを排除する日本人、嫁を質に出しても食べたい旬のカツオ、何なんでしょうね。
このように、旬の山の幸、海の幸を食糧とする人々は自然を神とあがめる信仰になるのでしょうね。理解が出来ます。人間の力で自然を制御する農耕文化とは根底から異なるのではないでしょうか。
地球温暖化が21世紀の大問題ですね、ヒマラヤの氷河が凄まじい勢いで融けているそうだけど、黄河、長江、メコン、ガンジス、インダス、アムール等々の河川の水量が半減したら大問題です。数十億人の命と関わりがあります。米国の中西部のミシシッピー上流の大洪水でのコーンフィールドの打撃も報道されています。
あらためて、変化する自然と共生する生き方を考えないといけませんね。それには、古代の縄文時代の生き方から学ぶ事が多いかもしれない。
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Comments
Joさん
青空、新緑、渓流、花に囲まれた中を森林浴気分でトレッキング・・・草むらに隠しておいたビール
さぞ美味しかったでしょうね
これで、お腹の不調も急回復だったのではないでしょうか
尾瀬を充分楽しんだ様子
伝わってきました 
本当、我々は当たり前のように魚を生で食べますね。というか、魚を買う時生で食べられる状態にあるかを必ずチェックします。焼いて食べる時も、生食用の魚を買ったりして
私は観なかったのですが、旬の物を食べることは、身体にとてもいいことのようですね。ミネラルがとても豊富、TVで放映していたそうです 
Posted by: 哲 | 2008.06.25 01:19 PM
てっちゃん お帰りやす
北海道のゴルフ、楽しそうでしたね。昔活躍した競走馬とも会えたそうですね。
てっちゃんのお家ではよく自宅で刺身で宴会されていますよね。ブログで拝見しています。
私は関西出身なので、関東の人ほど刺身は食べませんね。西と東では少し程度の差はあるようです。
Posted by: jo | 2008.06.25 02:17 PM