南越雑記帖 (4) 悪しき風習
ベトナム進出する海外企業の頭痛の種がバックマージンの問題だ。5%は公に認められてるそうだが、日本企業も欧米企業も頭痛の種だ。これは、賄賂と同種と考えてもよいがどうもそれだけではこの風土は理解できない。
月収200ドルの大臣から、工場のワーカーは100ドル以下の月収である。しかし、10万円以上するバイクに乗っている。昔は家庭に一台が今や働く人々は各自一台のバイクに乗っている。この国にはローン金融制度は存在しないので、現金で購入しているのだ。
一体どうやって金が出てくるんやろ?最近はバイク工場のワーカーがホンダシビックの新車、約37000ドルの新車に乗ってくると言う。数年前まではハノイの五っ星ホテルのレストランは欧米人と日本人だけが、今やベトナム人が沢山会食している。
(表の金と裏の金)
先ず、ハノイに来て当惑したのが銀行である。日系の銀行に口座を開設したが、手持ちの現金千ドルを預金しょうとしたが、断れた。え?俺の金を預かるのが銀行やろ?問題はその金の出所である。企業から給料として支払われたドルは大丈夫であるが、赴任時に持参したドルは駄目だ。
これは、ブラックマネーの対策である。それだけ、この国では暗黒の資金ルートが存在する証拠である。輸入関税を逃れて中国、ラオス、カンボジア、タイから密輸する連中が多いという証拠でしょうね。
日本企業とか欧米企業でベトナムに進出してる企業の頭痛の種である不正取引は、こちらの国では異常な事ではない。しかし、WTO加盟を実現したこの国が世界の取引ルールで成長するにはこの悪癖を直さねば未来は暗い。
(人に仕事を頼むルール)
日本ではある組織に属する人に仕事を頼む時は、その組織と話を通じてその組織に利益があれば問題なく仕事は頼める。しかし、こちらでは組織が利益を得ようが、その頼まれる人に利益が直接無ければ動かないのが現実だ。
今まで、数箇所でこの事実は確認した。大義だけでは人は動かないのだ。金が動かないと人は動かない。
開発途上国独特の風土なのか、そうでないのか?これから時間をかけて得意の歴史の研究を踏まえて研究したいと思います。
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Comments
JOさん、またまた何度目か来室して、やっとコメントいれます。
どうにも、国際情勢がからむ記事だから、不用意に言い散らすことも出来ず、考え込みます。
この悪習。やはり、現代世界では悪習なんでしょうね。けど、地元の人は、お日様が東から昇るくらいに当然と考えておられると思います。
組織としての顔というのが、ないから、担当個人の裁量、担当の人生観に左右されるわけでしょうね。
なかなか。
古い日本ではどうだったんでしょう。
飛鳥時代以前、大化の改新以前、……。
そうそう。以前は、イタリアなんか、つまり南欧にもこの風習が強かったようですが、さて。
一応、日本は組織の顔を見せていますから、一応、どこの役所でも、まあ、それなりにチップ賄賂なしで、こなしてくれますが。ときどき、新聞に載りますね。
Posted by: Mu | 2007.01.15 05:19 PM
Muの旦那
個人的に人に頼みごとをする時にはお礼をしますよね?ですから、人と人の関係においては仕事の見返りにお礼のお金を払うとか物でお礼をしますね。
問題は組織の一員として動く時に欧米では個人的に金と物が動くのを禁じている。これは、組織が壊れるからではないでしょうか?
それ以外にも色々と問題がありますね。例えば、国営鉄道で物を運ぶ時に色んな駅で賄賂をとられると物流が混乱する。
さて、今最大の興味はインドシナ半島横断道路の開通です。日本のODAで開通したメコン川の大橋を使いタイからラオス経由ベトナムはフエまでの高速道路です。
先日、あるパーテイ席で道路を通過した人の話を聴きました。数箇所で訳の判らん金を取られたそうです。
今だ、関所は生きているんですね?政府不公認だけどね。
Posted by: jo | 2007.01.15 06:11 PM