jo君のヨイトマケ奮戦記(19)
今回の遺跡発掘の記事もこれで残り1回の記事を残し最後となりました。今回は遺跡のことでは無く現場で働く人々の模様についてお話したいと思います。
現場の発掘主体は某文化財研究所が担当しています。そして、区からは教育委員会の立場で二人の考古学専門の院生が参加しています。(毎日参加)そして、下請け業者として沢山の土木業者が参加しているんですね。
文化財研究所の社員が15名程度、そして、土方専門家の業者が25名程度、そして私のようなアルバイト発掘補助員が30名程度ですね。
(一日の勤務風景)
朝8時頃に現場に到着する。土方専門の土建業者さんは7時過ぎには全員が車で飯場から現場に向かい到着している。ともかく、朝が早いのだ。出勤すると先ず、タイムカードに時間を打刻するのと、”出面(でずら)”帳面に名前を記入する事から始まる。
大きなリュックから着替えを取り出し、作業着に着替え、頭にタオルを巻いて首にタオルを巻いて、腰にタオルをぶら下げヘルメットを被る。持参したペットボトルのお茶を4本取り出し作業用の細かい工具入れの袋に入れ作業開始を待つ。
9時10分前にはラジオ体操が始まる。そして、現場監督から今日の作業指示を受けるのだ。そして、鋤簾、剣スコ、角スコ、箕、をネコの上に載せ現場に向かう。日差しがきつい、私は4ヶ月の現場作業で顔、首筋、腕、手、真っ黒になってしまった。(笑)
一番きつい仕事は、トレンチ掘削である。3メータ四方で深さ3メータの穴を正確に水平垂直に掘る仕事である。スコップは角スコを使うが、グラインダーと砥石で先端は刀のように研磨し堅い土壌を切るのだ。
初日はこの作業で、帰りの電車では座席に座れない程、足腰と腕が疲れクタクタで帰宅した記憶がある。最初の数日間は厳しいのだ、これで、アルバイトの人は殆ど辞めるのだ。続けて勤めることが出来る人は文化財に興味のある人か、元、建設現場で働いていて年老いたか、何らかの事故に遭遇し本職の土方としては働けなくなった人々だけが残るのだ。
私は遥か昔、山登りをしていたので、基礎体力が僅かであるが残っていたので、何とかついて行く事ができた。それと、仲間に恵まれた事ですね。元銀行員だったkazzさんとか、同じ大倉山から通う元建設現場で働いていた専門の佐藤さんと出会う事ができたからだと思います。お互いに励ましあい、厳しい炎天下での穴掘りの過酷な作業に耐える事が出来ました。
(現場の規律)
企業でも工場の現場では整理・整頓・清潔が事故防止には一番大事な事であるが、ここでも同じでしたね。ついつい、事務職の経験者には判らない規律の厳しさが有りました。そして、何より大事なのは仕事に対する責任です。現場の上司から作業場を移れと言われても、現在している作業の後始末をちゃんとしてから移るというモラルが今の企業現場では薄れている職人のプライドというものを感じた。
(土と格闘した)
4ヶ月間、土と格闘して思うのは、百姓という職業の奥の深さを連想した。土を掘る仕事ですから、堅い土もあれば、砂のような土もあり、根っこもあり、カステラみたいな土もあり、千差万別である事だ。しかも、深さにより異なるのだ。百姓が土とともに生きるという話を昔聴いた覚えがあるが、まさにそうだろうな~~と、身体で感じる事が出来た。
(考古学は現場の学問)
昨夜もNHKでは恐竜と哺乳類の戦いの番組をやっていましたね?太古の恐竜の骨とか哺乳類の骨の化石を発掘する場面がありましたが、過酷な環境で学者が何年も何年も発掘している作業現場を観て、同じやな~~~?、と変な同感を感じる事が出来たのも、今回の遺跡発掘作業を経験したからだと思った。
頭で考える事と身体で考える事が並存しなければ、本当の真実の追求と本質は判らないというのが今回の結論だと思いますね。
7月末で私は遺跡を去りますが、現場は8月中旬迄続きます、しかし、ほぼ成果はでたので残りは仕上げの作業なので、去るには潮時と考えました。そして、私は、次の挑戦が待っていますので、又、全力で頑張りたいと考えています。
次は、海外の大学での新たな挑戦なのだ。
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Comments
Joさんお疲れ様でした。白馬の合宿も雨の中とは言え、素晴らしい大自然に包まれて、お仲間の皆さんも童心に帰って生き生きとしていましたね。それに焼き鳥やキムチ鍋が美味しそうであります。先ずは無事にご帰館なによりです。
それはそうと…、やはり発掘現場を7月一杯で離れるんですね。寂しくなります。でも本当に楽しい4ヶ月でした。お世話になりました。五十路半ばを過ぎてこの様な肉体労働に良く耐えられたと自分自身を褒めますよ。Joさんにお会い出来た事は偶然でしょうが、何か運命的なものも感じます。再びお会いできる機会があればまた、色々な楽しい、アカデミックな話題で盛り上がること間違いあいません。残り僅かな日々となりますが、もう少し頑張りましょうね。
Posted by: Kazz | 2006.07.19 12:11 AM
kazzさん
楽しい思い出を有難う御座いました。お互い、サラリーマンの世界から突然に厳しい肉体労働の現場での経験。私が続けられたのも、kazzさんと佐藤さんが側におられたからだと感謝しております。
何時か又、何処かの遺跡の発掘現場でお会い出来るかも知れません。出来れば、夏は北海道あたりの涼しい場所で、冬は温暖な九州あたりの遺跡でお会い出来るかも知れません。(笑)
残り少なくなりましたが、悔いの無いように頑張ります。最後の仕事は2メータ四方のトレンチ掘削ですね?
Posted by: jo | 2006.07.19 06:35 AM
(『JoBlog』の面白さの秘密)
ヨイトマケシリーズも後1回で終わちゃうんですか・・。私は『JoBlog』の中で、この(ヨイトマケシリーズ)が3本の指の一つに入るぐらい、好きでした。
(頭で考える事と身体で考える事が並存しなければ、本当の真実の追求と本質は判らない)
まさしく、それを実践されてこられましたね。
朝早く起きて、発掘弁当を作り、炎天下現場で働き、夜は『JoBlog』でその日の総括を記す。
大変だな~と思いながらも、この『JoBlog』に本物を見つけていました。バーチャルな世界で、作り物を見せられても面白くないですが、『JoBlog』には私の全く知らない現実世界が見えました。
Joさんは持ち前の明るさで、現場の人たちともすぐうち解けられていましたね。いつも感心するのは、しんどい仕事を支え合う仲間への感謝の気持ちを忘れておられないところですね。自分一人の手柄にされないところが立派です。
Joさんなら、海外の大学でも、素晴らしいお仕事をなされるだろうと思います。(なんせ体力はある、知力はある、お笑いの要素は十二分にあるんですから。笑)
これからも益々のご活躍を心からお祈り致しております。
Posted by: ほかも | 2006.07.20 04:11 PM
ほかもはん
連日雨が続いていますね、ヨイトマケが出来ないダス。(涙)多分、ピット(試掘塹壕)には水が沢山溜まりカエルが泳いでいるんと違うかな~~?
好きな事をやるのは苦にならないけど、肉体労働は物理的なものだから正直言って、シンドイでした。けど、仲間がいたから継続できたと思います。
今回は初めての発掘の現場経験でしたが、何時か又、何処かの現場に立ちレポートする可能性があると思います。それは、海外なのか、オホーツクなのか、はたまた、明日香村なのか?(笑)
取り合えず、今回のシリーズは次回で終わりたいと思います。有難うございました。
Posted by: jo | 2006.07.21 06:55 AM