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青色LED訴訟和解

本日、青色発光ダイオードの発明家、中村修二教授の訴訟が和解した。東京地裁が発明対価が50%で604億円。今回の二審の東京高等裁判所は本人の製品化貢献率は5%であり6億円、遅滞金で8億4400万円。

(この問題の重要性)

20世紀は多量生産多量消費の時代でした。そして、製造立国で今の日本の経済の繁栄を勝ち得た。しかし、これからの21世紀は、もはやもの余りの時代であり、知識産業が重要となり、製造は製造でも世界で誰も出来ないものを研究開発して特許で国を富ます時代である。

(パルミザーノレポート)

もう直ぐ、米国では米国IBMのCEOである、サミュエル・パルミザーノが委員長を務める重要なレポートが出る予定である。どうやら、下敷きはハーバードの有名なマイケルポータ教授とMITのスコット・スターン教授が99年にレポートしたものが、核になりそうである。

マイケル・ポータ先生はスローンスクールで経営学を教えており、日本でも有名であり、私の経営学の師匠の山田文道先生も昔からの知故の仲である。エクセレント・カンパニー、イノベーション、オンリーワン、これが彼の口癖である。

米国は現在、財政赤字と貿易赤字のダブルの赤字に悩まされ、危機的状況にある。今後の長期的な米国の優位を保つ産業、教育施策についてレポートが出る。どうやら、日経の記者のレポートによれば、鍵は”イノベーション”に於ける国際的優位にあるようだ。

これは、云われなくても、マイケル・ポータが関与したレポートならそうなる。基礎的な研究、世の中動転の技術開発、誰も真似出来ない技術開発に人材育成、企業育成を行う施策をとる。

(さて、LED訴訟)

これからの時代は、中国が製造分野で追い上げてくる。日本が生き残るには新しい技術開発で先を行くしかない。
これが、イノベーションである。米国の競争力評議会のレポートでは、日本が2005年も世界一と評価している。(イノベーション指数) 米国の敵は日本である。

そこで、結論になるが、今回の中村教授の訴訟は日本の企業と産業・教育政策に大きな提言をされていると、考えた方がよく、これからの日本の国のかたちを考える試金石である。

二審の判決文を正確に読んでいないが、何故、中村さんの貢献が1200億円のうち5%なのか?今後は、企業はどうあるべきか、研究者とか技術屋、及び、ビジネスマンの分野でもビジネス・モデル特許というものもあり、全て、知的創造物であり知的財産である。これの、報酬をどう考えるのが企業にとり、国にとり、個人にとりハッピーになるのか? 日本の今後の繁栄はこの舵取りにかかっている。

残念なのは、中村さんが、日本に失望され、日本の技術者は日本を捨てて、米国に来いと言われたそうだ。お怒りは判るが、残念だ。

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Comments

 素人が考えると、数万円が8億にもなったのに、中村さんはどうして不服なんだろう?と思っていました。

 それが、joさんの「何故、中村さんの貢献が1200億円のうち5%なのか?」でやっとわかりました。
 知的財産に対して、正当な評価がなされていない、ということなんですね。

 新聞を読んでもわからなかった人間にもわかる、詳しい解説ありがとうございました。m(_ _)m

Posted by: wd | 2005.01.12 11:20 AM

勿論、特許だけで製品にはなりません。幾多の改良及びインプリメントの技術屋が参加して、製品化されてゆきます。

問題は、このプロセスですね、基本特許の価値について透明性をもたせた、会社側と特許出願者の話し合いでしょうね。

これから、多くの企業で事例が出て来ます、いい方向に向かうと楽観しています。

問題は、日本人はなかなか特許を出さない性癖があり、これが企業では困っています。もともと、著作権、知財にたいする意識が希薄です。

確かに、法隆寺金堂の壁画にも署名は有りませんでしたね。高松塚壁画も、キトラ古墳もね。

Posted by: jo | 2005.01.12 12:46 PM

Joさん、ほんの少し、感想。
 科学技術立国日本は、世界で生きていく正しい方法論だと思いはしますが、それにしては、そういう成果を個人の栄誉に還元するシステムが弱いですね。

 評価システムは、あるのでしょうか。
 組織に置ける、個人の貢献度を客観的に計る。

 またいずれ、お話を伺いたいです。

Posted by: Mu | 2005.01.13 04:46 PM

Muさん

私は本件に関して二種類の会社の対応があると思います。

(1)特許を出させる工夫

研究所とか、学研肌の連中は特許を言わなくても申請する。しかし、そういう連中の特許は私の印象ではたいしたことはない。問題は、本当に実業で忙しい連中の頭の中に特許はある。

こいつらが特許を申請しない。とにかく、申請すると飲み代とか、特許料の何パーセントは還元すると誘いの水を出す。

(2)事業としての収入

これは、特許に関して製品化して儲けた金の還元方法になる。特許の性格により、一律には決めれない。

会社の透明な組織で客観的に本人と話し合うしかない。そのルールはこれからの世界です。大手メーカーは動き始めています。

こんなもんで、よろしいですか?要はこれからやね。

Posted by: jo | 2005.01.13 11:14 PM

和解しておいてあの言い草はないと思います。

Posted by: wowow | 2005.02.16 12:46 AM

wowowさん

コメント有り難う御座います。

友人のふうてんさんの話では、東北大学の金属材料研究所の川崎教授が世界の半導体研究者を驚かせた発明をしたそうですね。

酸化亜鉛を使用した青色発光ダイオードの発明で、中村教授のガリウム砒素とは異なり、材料は豊富、効率も性能も抜群だそうです。

日本の技術者もやりますね。

Posted by: jo | 2005.02.16 08:18 AM

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