ワカタケル大王 黒岩重吾
ワカタケル大王 黒岩重吾 ISBN4-16-320630-2 文芸春秋 2143円+税 平成14年1月15日 発行
倭の五王最後の王である雄略大王に関する小説である。祟神王権が花開いた三輪山近辺から場所を河内に移し神功皇后の息子である応神大王が河内王権を開いた。その後、仁徳大王を初め倭の五王と中国歴史書に残る大王が倭王権を握るのである。雄略大王は中国南朝の宋王・順帝に上表した文が有名ですね、祖先が日本を武力で制圧した武勇伝が書かれている。ワカタケルが近年注目されたのは埼玉県稲荷山古墳出土の鉄剣の金象嵌の補修時にエックス線照射にてワカタケルの大王の名前が出てきた事である。既に、関東迄ヤマト王権の力が及んでいた考古学資料となりました。同時に、判読困難であった熊本県江田船山古墳出土の文字もワカタケルと判読された。巨大な古墳を河内に築いた倭の五王の時代には既に、九州から埼玉県までヤマト王権が支配していた事が実証された。同時に国際情勢は緊迫しており、朝鮮半島の北では高句麗が武力で勢力を伸ばし、南下して百済を圧迫していました。この小説は国際色豊かに百済の18代王のコウロ王の弟である昆支王(コンキオウ)が倭に渡り部下のムサノ青という部下を秘密CIAとしてワカタケルを助けるドラマである。
その後、南宋の力も弱まり、中国の情勢も変わり北に政治は移行する、河内王朝も落日の日を迎え日本海の新たな勢力である継体大王がヤマトの王となる。
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Comments
JOさん
意外に黒岩ふぁんですな。
私も、大昔最初によんだのは、天の川の太陽でしたかな、天武さんの壬申の乱。気に入って、あのシリーズの6割くらいはよんでます。
ヤマトタケルは全部。
ワカタケルさんもあの分厚いの一気に読みました。
最近、雄略天皇に出くわすたびに、葛城の蘇我一族のつぶら(円)でしたか、大臣を殺したのは悪逆なりという話にしょっちゅうでくわすけど、黒岩作品では、狡い葛城一族という表現でしたな。
いろんな見方があるですね。
おお、そろそろ新撰組や。
あと幾つ見たら、芹澤鴨さんも、山南さんも、さびしうなるね。
沖田はんも、早めに関東で亡くなったんですなぁ。
それじゃ
Posted by: MU | 2004.05.16 07:38 PM
天の川の太陽は直ぐに読みました。天武天皇(天武さまからは天皇とお呼びしていいんですね)さまの小説は面白かったです。ワカタケル大王では葛城氏との確執が重要なテ-マですね、吉備の国と連携して大王家を脅かす。けど、この時代が好きなのは江戸時代と異なり国際的である、という点です。鎖国で自国だけの文化を育むのもいいけど、グロ-バルな方が好きですね。日本一になっても面白くない、世界一を目指さんととね。
Posted by: jo | 2004.05.16 07:45 PM