人麻呂の暗号 藤村 由加
『人麻呂の暗号』 藤村 由加 ISBN4-10-371901-X \1200 新潮社 1989年1月発行
確かこの頃は梅原 猛先生の、柿本人麻呂論『水底の歌(上/下)』 に傾倒していた時期だと思う。そんな折りにこの本は出版されたと記憶する。万葉集は漢字で書かれており、読みくだしを我々は楽しんでいるわけですね。作者とそのグループは朝鮮語で読んで見ようという試みでした。特に、解釈が難しいといわれている歌とか、意味不明といわれている万葉集に迫ろうとしました。特に、万葉集 歌聖といわれる人麻呂を取り上げましたね。今だ解明されていない枕詞についても研究されました。私は万葉の時代のインテリは中国語と朝鮮語を話せたと考えています。私の故郷の親爺の墓の前には王仁博士が千字文を伝えましたと記念碑があります。万葉人がやまとことばを漢字を使い、表音表記する場合に複数の意味を漢字に込め、朝鮮語での別の意味を持たせたと想像するのは面白いと思いました。特に、政治に絡む歌の場合は複雑であったと思います。柿本 人麻呂は渡来系の人であるという説がありますね、充分に可能性のある想像であると思う。飛鳥、奈良、平城、万葉の風景は古代朝鮮語の香りがプンプンする国際都市(今の日本は英語が氾濫していると同じ)であったと思う。ただ、この本では残念ながら朝鮮語がこの時代で使われていた古代朝鮮語で分析がされたのか批判する人々が居る事も事実です。
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Comments
JOさん
未読です。
20年近くになるかな。職場で定期的読書会をやっていたころ、20代の二人の女性が同時にこれを選んで、読後感を聞かせてくれた。
で、辛辣だった。
興味深くおもしろかったが、ちょっと・・・と、京都弁で言っていたのが耳朶にのこる。
私は、わかいもんの意見をとても参考にするタイプなので、「そうか。ほな、僕は読むのやめる」
そういうことでした。
Posted by: MuBlog | 2004.05.14 01:46 PM
その後の世間の辛辣な批判は聞き及んでいます。梅原猛さんが柿本人麻呂、法隆寺関連で哲学者として意見を述べられた件でもかなり、批判を受けたと聞き及んでいます。私は、中身は判らないけれど、又研究手法に手落ちがあっても発想が肝要と心得ています。千年以上研究され尽くされた領域でも、新しい発想で研究に取り組む挑戦者としての心意気を買いたい。
Posted by: jo | 2004.05.14 02:19 PM